令和7年度春期企画展「幕末人の心象」
2025/04/29

春期企画展「幕末人の心象」を開催中です。

幕末に生きた人物は自身の心情を漢詩や和歌で表しました。

それらは「遺墨」として珍重されています。

「遺墨」を見ると、世の中に対する危機感や自らの信条を訴えるもの、家族との別れに涙し、恋しい人に思いをはせるなど〈人間〉としての感情があらわれています。

また、筆跡も、のどかな風景や恋しい人への想いを詠んだものは繊細で流麗な筆遣いで、自らの信条や高揚する気分を詠んだものは堂々とした筆遣いで、愚痴をぶつけたものは荒々しい筆遣いになるなど、様々な感情が表現されています。掛け軸や短冊に書かれた文字の形にも注目して、作者の心の内を想像してみてください。

今回の企画展は、当館が所蔵する史料から、幕末期に活動した人物の遺墨42点を展示します。

個性豊かな筆跡、和歌や漢詩の内容から、幕末人も一人の〈人間〉として、様々な感情をもちながら生きてきたことに思いをはせてください。

岩倉具視 短冊

自身に起こった出来事は危機ともなるし、好機ともなるという意味の和歌。

 

       

大久保利通 書

明治7年(1874)、台湾出兵後の視察のおりに詠んだ漢詩。日本の国威が世界に輝くようにという願いを込めた内容の漢詩。

 

維新七卿短冊

文久三年(1863)八月十八日の政変で長州へ向かった三条実美ら七人の公家が詠んだ和歌。右から1つ目の三条実美の短冊は、明治23年(1890)第一回帝国議会開院式で、国民のために精一杯務めよという激励を詠んだ和歌。

 

 

テーマ展示「武市半平太の政治活動」
2025/04/29

今年(2025)は武市半平太の没後160年にあたります。

 

武市は土佐勤王党を結成し、土佐藩の尊王攘夷運動をけん引しました。

長州藩の久坂玄瑞、公家の三条実美ら急進的攘夷派と連携して幕府に攘夷実行を迫りました。

その行動は身分秩序を重視する山内容堂からは分限を超えた行動とみなされ、文久3年(1863)9月21日に投獄され、慶応元年(1865)閏5月11日に切腹を命じられました。

本テーマ展示では、当館所蔵史料から武市の政治活動に関するものを展示します。

 

武市半平太肖像画(公文菊遷画) 中岡慎太郎館蔵

 

武市半平太他捕縛令(写) 「利岡家文書」 中岡慎太郎館蔵